モロッコに住む日本人の現地コラム vol.29

皆さまこんにちは!
モロッコ現地からフレッシュなコラムが届きました♪
今回はどんな情報なのかドキドキ(o´艸`) さてさて、始まります!
 
 
 

 

【 モロッコのお祭り~犠牲祭(イード・アル=アドハー)~ 】

 
こんにちは。モロッコ在住のユキです。
お盆の時期ということで、家族で楽しい時間を過ごしている人も多いですよね。
 
モロッコでも8月のこの時期には、「犠牲祭(イード・アル=アドハー)」という大きなイベントがあります。この日は家族が集まる大切な祝日とされ、遠くに住む家族が全員実家に帰り、家族みんなでお祝いをします。まるで、日本でいうお正月やお盆そのもの。
 
今日はこの犠牲祭にまつわるエピソードをご紹介したいと思います。
 

モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
 

【 犠牲祭(イード・アル=アドハー)とは 】

 
「犠牲祭」はイスラム教の行事で、ムスリムにとって最も大切な行事の一つ。息子のイスマイルを生贄に捧げようとするイブラヒムを、アッラーが諌め、代わりに羊を捧げるよう諭したとされる旧約聖書の話が由来とされています。
 
通常の暦ではなく、イスラム暦によって日が決まるため、犠牲祭の日は毎年変わります。今年は8月12日でした。
犠牲祭はだいたい3〜7日くらいお休みをもらって、家族とゆっくり過ごす人が多いようです。

 
 

【 犠牲祭って、何するの? 】
 
 
犠牲祭でやることを端的に言うと、
「一家に一頭の羊を買い、捌き、家族で食べる」。
 
一頭買いでもビビるのに、家で普通の人が捌いちゃうんです。
そして、捌いた羊はほとんど捨てるところなく、すべて食します。
親戚や近所の人、貧しくて羊を買えない人にも分けて食べるので、一家族で全て食べるわけではありませんが、それでも肉!肉!肉!の豪華パーティーになります。
 

モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
犠牲祭が近くなると、スーパーには羊売り場が現れます。
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
写真は、日本でもよくある大きめのスーパーの、ふっつーの駐車場です。その中に羊がひしめく大きなテントが現れちゃうのだから、びっくり!
 
羊の値段は、羊の大きさや購入時期によって左右されますが、だいたい5〜6万円くらいです。モロッコの平均月収も5〜6万円と言われていますから、給料1ヶ月分。かなり高価な買い物です。
 
そして買った羊をどうやって持ち帰るかというと、軽トラの荷台に乗せて連れて帰るのが一般的。中にはバイクで羊を抱えて持って帰るというツワモノもおります。もー、最初見たときは度肝抜かれました。うまーく絶妙のバランスで羊を抱えて乗ってるんですよー。スゴイ。
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
 

【 実は厳しい。8月のモロッコ家庭におけるフトコロ事情。 】

 
実は、8月はモロッコ人にとって非常に出費がかさむ時期とも言われます。特に子供がいる家庭にとっては、切実。
なぜなら、学校が始まる9月を前にして、8月は教科書などの教材を購入する時期でもあるから。
 
犠牲祭で、羊の購入費用で月の給料の半分以上が出て行くのに加えて、数万単位の出費が重なるのですから、痛くないわけがありません。
犠牲祭は日本のお正月のように帰省をする家も多いですしね・・・
 
ま、とはいえ、そんなことは気にしないのも、モロッコのお国柄(!?)。
犠牲祭の時期における寄付などの善い行いは、普段以上に徳を積めるとされていますし、心から犠牲祭の雰囲気を楽しんでいる人がほとんどのようです。
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
 
【 非日常感がただよう、犠牲祭当日 】

 
残念ながら、犠牲祭当日は夫の仕事の都合で実家に帰ることができなかった我が家。
小さな子供がいる3人家族では羊を買うわけにもいかず、海辺の町へ日帰り旅行することにしましたw
 
街のあちらこちらで羊を焼く煙が立ち上っている中、ドライブ。
午前中はどこの家でも羊をさばいているので、町は閑散として誰もいません。
見かけるのは肉を焼く人の姿だけ。
 
もちろん、お店もほとんどクローズ。
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
マラケシュから3時間ほどドライブすると、海辺の町エッサウィラに到着。エッサウィラは大西洋に面した港町で、日本人観光客にも人気のある雰囲気の良いところです。
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
普段は多くの人で賑わう町も、街にいるのはモロッコ人以外の外国人ばかり。
もちろんビーチも。
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
モロッコの暮らしコラム【犠牲祭(イード・アル=アドハー)】の写真です
 
このエッサウィラでも、街中に一歩踏み入れると、至る所で羊が焼かれていました。
写真は撮りそびれてしまったのですが、道端でみんな羊のバーベキューをしていて、バーベキューの網の上には羊の頭がたくさん・・・!!
 
羊の頭は高級食材なんですけどね。いまだに私はちょっと苦手です。
 
ちなみにこの日、夫の親戚から実家で行われた羊の解体ショーの写真が送られてきました。
うーん。写真で見るだけでも、やっぱ強烈(涙)
 
 
【 最後に 】

 
羊を捌くという行為は、とってもショッキングなもの。しかし一方で、命の大切さを知ることができる貴重な機会とも言えます。
 
お肉をいただけるという幸せを、大切な人たちと分かち合う犠牲祭。日本ではなかなか意識することの少ない「命」を感じることができる、興味深いモロッコ・イスラム行事の一つです。
 
【ユキ】
 
 

 
 
 
 
では、また次回のコラムまで(*^-^*)
 
 
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